2012-05-13

【週俳4月の俳句を読む】津久井健之

【週俳4月の俳句を読む】
馬の頭数

津久井健之


散る花に陰の塊馬二頭  山田真砂年

シチュエーションとしては、山に囲まれた静かな里が思い浮かぶ。桜は山桜がふさわしい。飛花落花をやや離れた場所から眺めている。桜のかたわらに休む馬に日差しが降りそそいでいたところ、雲がよぎる瞬間、くろぐろとした影に転じた。中七の断定が、桜との色彩的対比および日のかげる瞬間の速度というものを、非日常の空気をたたえつつ表現している。また、下五、馬が一頭ではなく、二頭がのどやかに並ぶ景を呈している点、中七のテンションを緩和し、俳句的均衡を保つとともに、その次の瞬間は日差しが戻り、あいかわらずの平和な、春の風景が続く、というようなニュアンスもふくみ、句の広がりを生み出していると思う。


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