2012-10-07

【週俳9月の俳句を読む】アンドロイドは横須賀の夢を見るか 岡野泰輔

【週俳9月の俳句を読む】

アンドロイドは横須賀の夢を見るか

岡野泰輔



トルシエやオシムのとき喧伝されたオートマチズムという概念がある。味方の一本のパスに無意識に体が反応して動く、チームの高度な連携のこと。先日のトットナム戦の香川の得点は、シュートに至る身のこなしに、ある種オートマチズムを感じた。そう、トップレベルのスポーツ選手は訓練の結果でもあるオートマチズムを身につけている。

はい、ここで俳句ですが、5分で10句みたいな即吟に長けたひとは、あきらかに俳句オートマチズムである。与えられた題にたちまち季語をはじめとする名詞、助詞、動詞やらを定型に流し込む、その過程の身体化。俳句そのものがすでに定型と季語によってオートマチズムの契機を用意している詩型なのだ。

そしてここにるふらんくん来たる。

横須賀の胸横須賀の蚯蚓鳴く    るふらんくん

このるふらんくんにある語彙群をパスすればたちまち句をつくるという。ルフランの句だ。飯田龍太の「一月の川一月の谷の中」が雛形。音韻的なルフランの快感でいえば龍太句が勝っているが、繰り返されるキーワードの色彩感、物語性で、るふらんくんの句も十分読ませる。横須賀の胸と夜、安っぽいパルプフィクションのタフガイとゲイシャガールか、やるじゃないか、るふらんくん。

秋の日の母秋の日の歌謡曲

ゆふぐれの壜ゆふぐれの彼岸花

半分の墓半分のいなびかり

太陽の皿太陽の小鳥来る

これらも、るふらんくんの作。いずれも読ませるのは龍太母型の汎用性の証か。

さて、句形よりも今はこれら語彙群が気になっている。横須賀、母、歌謡曲、壜、墓、太陽、昭和の語群。

月又月冷蔵庫又冷蔵庫

桃又桃ねぢまはし又ねぢまはし

こちらのルフランは「山又山山桜又山桜」の阿波野青畝母型。でき過ぎの冷蔵庫句より、桃とねぢまはしの愛嬌のほうが、るふらんくんらしくて好き。


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