2013-01-20

第200号~第209号より 藤幹子さんのオススメ記事

第200号~第209号より
藤幹子さんのオススメ記事



週刊俳句300号と聞いて、アラマアとサザエさんよろしく手を口に当ててしまう。そうですか、そういえば5周年記念会ももう遠い昔のようですね。読んだり読まなかったり、好きな記事しか読まなかったり、でもいつでも遊びに来られるしいつでもアーカイヴは覗ける、作者名企画名でピックアップもできる、まっこと便利な雑誌に、相も変わらず手と頭を休めるお世話になっております。

おや、Web雑誌とはそういうものだって? てやんでえ、こちとら昭和生まれのアナログ育ち、検索と言えば図書室の、五十音なる引き出しを、てんやわんやと開け閉めしては、司書の先生引きずり回し、貸出カードを埋めた口だ、大学に入りゃあパソコン検索ができるようにぁなったが、古雑誌読みたきゃ地下の書庫、人っ子一人いやしねえ、移動書架の間を右往左往、地上に出てはコピーをし、コピーをしてはまたもぐり、もぐらみてえな生活をしたもんよ。(だから未だにPCを開きキーワード検索したり、タグのまとめを遡ったりしながら、「便利になったもんだなあ」と阿呆のように何度でも嘆息できるのです、というオババの繰り言)

さて、アーカイヴから掘り起こしてでも読んでほしいシリーズ連載がちょうど第205号から始まっていました。今井聖氏の『奇人怪人俳人』。

毎回一人の俳人を取り上げ、その経歴や印象的なエピソードと句で綴られている、とだけ言ったならばそんじょそこらの俳誌でもお目にかかれそうではあるのですが、奇人・怪人、と銘打つだけあって、こう活躍してこう受賞して、最後は弟子に囲まれて、などときれいにまとまるだけではないのがこの連載。

例えば初回の佐藤秋水の「同人欄は寒雷(秋水の所属結社)の墓場だ」という言葉や、師・加藤楸邨に面と向かって「嫌いです!」と言い放ったという話。また二回目にあげられた野宮猛夫の、今の人から見たならば卒倒してしまいそうな労働に次ぐ労働の生活、その中にあってのエネルギッシュかつ奔放な句作の数々。(すっとんギーすっとんギーが頭から離れなくなる!)

そんな調子で一癖もふた癖もある俳人の紹介がこれ以降もまだ八回分あります。各俳人に二つ名のごとく冠されるキャッチフレーズがまたよいのです。(純情派青鬼教授、とか、不死身のダイ・ハード俳人、とか、まら振り洗う巨人とか)タグを押したら一発ですよ、ほら!飛んでゆけ!(個人的には看護師俳人・佐々木ゆき子の回が大好きです)

そういえば「俳句想望俳句」ってどうなったっけ、という向きには(どういう向きだろう)、第207号、藤田哲史氏『それでもしゃかりきコロンブスなのだ 「俳句想望俳句」における自閉的ニュアンスからの脱却のために』をおすすめします。「字義通りに解釈すると」「どのように俳句を作っても「俳句想望俳句だね」と評されそう」な印象を受けてしまう、と危惧する藤田氏が丁寧に、かつ的を外さず見事にこの言葉を解体提示してくれます。

ただ、これからの俳句が、「俳句想望俳句」の枠組みの中で閉じてしまうのはつまらないなと。(中略)純粋に俳句だけで俳句を再構築したとして、既に開拓されている領域にしか着地できないなんてつまらない。俳句を壊すためというより俳句を生かすために、俳句外の要素をどんどん放り込むといいんじゃないかな、って思うわけです。
と最後に述べられた部分には大いに首肯するものです。

この藤田氏の論稿と同じ号、ユニット傘【karakasa】の、傘【karakasa】本誌とも関連した『佐藤雄一ロングインタビュー10000字』も興味深いものでした。詩人であり朗読パフォーマンスイベント「サイファー」の仕掛け人でもある佐藤氏のこれまでとこれからの展望をからめた濃厚なインタビュー。

今回再読してハッとさせられたのは、佐藤氏の発言の、
(前略)サイファーの理念は、「その言葉を受け取ったあなたを詩人にするような言葉が詩である」です。これは俳句にも共通すると思っています。意味はわかんなくても格好いいなと思わせる俳句があれば、自分でも書き始めますよね。それを具体的なかたちで提示しエクササイズするのが結社なり句会だったと思います。
という部分でした。当たり前のようではありますが、ときどき結社って何だったっけ、何で入ってたっけ、などとぼんやりしてしまう時、思い出したい一文であります。


蛇足ながら申し上げますと、この第200号から第209号の合間には、実は2011年3月11日が挟まっています。

3月13日、第203号が「非常事態号」として俳句関連記事は一切載せないかたちでリリースされています。その時出来得るかぎりの細やかな気配りをもって、あの状況下で必要と思われる情報とそのリンクを掲載した記事に、本当に久しぶりに目を通しました。

感慨を述べる場所ではないと思うので、私はこれ以上は書きません。ただ、この事に関し第203号以降に掲載された印象的な記事だけ、あげさせていただきたいと思います。

第204号 野口裕 林田紀音夫全句集拾読156

第205号 小野裕三 今回の大地震に関連して思うこと~次の時代の日本へ。次の時代の俳句へ
(↑こちらはコメント欄やウラハイの記事など併せ読むのをおすすめします)

第205号 長谷川裕 祐天寺写真館・メキシコ編 草


第200号
第201号~第209号

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