2013-02-10

【週俳1月の俳句を読む】 野口る理


【週俳1月の俳句を読む】 
姉妹の名

野口る理




うろうろす読初の書に指挟み  小川春休

特にすることもないのに落ち着かない新年の気分。
せっかく読み始めた本に集中できず、その辺を「うろうろ」。
本に挟んだ「指」のあたりに広がる本の世界と、
挟んでいない指のある現実の世界とをも「うろうろ」している。


初夢のひと筆書きのやうなもの  津川絵理子

夢はいつも一息だ。目覚めは息継ぎに似ている。
「ひと筆書き」のなにかではなく「もの」というぼかし方、
そして、初夢「の」という措辞が絶妙で、
ただどこまでもなめらかなひと筆書きの線の余韻が残る。


すずなすずしろ姉妹で眉を剃りおとす  鳥居真里子

「すずな」と「すずしろ」は姉妹の名のよう。
きっとひそやかな声で話し、ほっそりとした指を持つ二人だ。
眉毛を剃り落としてつるんとした顔が、
淑気の中で涼やかに輝き浮かび上がってくる。

第298号 2013年1月6日
新年詠 2013 ≫読む
第299号 2013年1月13日
鈴木牛後 蛇笑まじ  干支回文俳句12句 ≫読む

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