2013-05-26

後記+プロフィール 318

後記 ● 村田 篠


過去の流行歌が、アレンジを変えたりなどして、CMなどで効果的に使われているのを当たり前に見かけるのですが、メロディのパターンにも限界はあるはずで、現在の状況はどんな感じなのだろう、と、テレビを見ていてふと思いました。あ、このメロディはまだ聴いたことがないぞ、と聞き手に感じさせるような音楽をつくることは、作曲家にとってどのくらい大変なことなのだろうか、と。

言葉や映像でもたぶん同じことで、小説や映画でも「これはまだ見たことがない」というパターンを発見することは、なかなか大変な状況になっています。もちろん、見たことがあってもまったくいいのですが、そうだとしたら、なにかそこに工夫が見たいというか、感じたい。受け取り手の方も、どんどん贅沢になってゆきます。

俳句のように短い形式だと、パターンありき、そこからどうするか、ということで、なにかしらその人らしさが見える俳句を読むと、うれしくなったりします。「その人らしさ」と言葉にしてしまうと、あまりに薄っぺらくてぞっとしてしまいますが、実際、何度も句会をご一緒したりすると、名乗る前にその人の句だと分かってしまうことが多々あるという事実を、どう説明したらいいのか。パターンのなかに体臭のようなものがまぎれ込みやすいのは、俳句が短いからかもしれない、という気もします。

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さて、今週号の10句作品は金原まさ子さんです。金原さんの俳句の金原さんらしさには、ほんとうに魅了されます。どうぞ存分にお楽しみ下さい。

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それはまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.318/2013-5-26 profile

■金原まさ子 きんばら・まさこ
1911年東京生まれ。 「草苑」創刊同人、「街」同人。 句集『冬の花』『弾語り』 『遊戯の家』(2010.10月刊 金雀枝舎)『カルナヴァル』(2013.2月刊 草思社)。

■山口優夢 やまぐち・ゆうむ
1985 年、東京生まれ。東大・早稲田など東京の学生俳句サークルやTHCなどの超結社句会に参加。第六回俳句甲子園団体優勝・個人 最優秀賞。第二回龍谷大学青春俳句大賞大学生部門最優秀賞。第四回鬼貫青春俳句大賞優秀賞。好きな惑星は火星。2008年12月より銀化所属。アンソロ ジー『新撰21』(2009)に参加。2010年第56回角川俳句賞受賞。ブログ「そらはなないろ」

■橋本 直 はしもと・すなお
1967年生。「豈」同人、「鬼」会員。「俳句の創作と研究のホームページ」

■松本てふこ まつもと・てふこ
1981年生まれ。2000年、作句開始。2004年「童子」入会。同年「新童賞」受賞。『新撰21』『超新撰21』(邑書林)に小論で参加。アンソロジー『俳コレ』に入集100句。2012年「童子賞」受賞。「童子」同人。

■小津夜景 おづ・やけい
1973年生まれ。無所属。

■野口 裕 のぐち・ゆたか
1952年兵庫県尼崎市生まれ。1952年兵庫県尼崎市生まれ。二人誌「五七五定型」(小池正博・野口裕)完結しました。最終号は品切れですが、第一号から第四号までは残部あります。希望の方は、yutakanoguti@mail.goo.ne.jp まで。進呈します。サイト「野口家のホーム ページ」

■小川春休 おがわ・しゅんきゅう
1976年、広島生まれ。現在「童子」同人、「澤」会員。句集『銀の泡』。サイト「ハルヤスミ web site

■村田 篠 むらた・しの
1958年、兵庫県生まれ。2002年、俳句を始める。現在「月天」「塵風」同人、「百句会」会員。共著『子規に学ぶ俳句365日』(2011)。俳人協会会員。「Belle Epoque」 

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