2013-07-28

10句作品テキスト 鳥居真里子 玉虫色

玉虫色   鳥居真里子

夏霧や母なる臍といふところ
馬の死の夕べ花茣蓙巻きにけり
どんみりと枇杷の実のありうす情け
盗癖のあるごとからすうりの花
鬣のまつさかさままつさかさま泉
たとふれば月の毒ある葡萄の木
花藻花藻この世のものが燃えにけり
たましひに玉虫色の痣ふたつ
暮るるまで臍をかくしぬ沙羅の花
まつり笛あの日のままにしたたりぬ


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