2013-07-28

自由律俳句を読む 4 母 (二) 馬場古戸暢

自由律俳句を読む 4
(二)

馬場古戸暢


前回に引き続き、「母」にちなんだ句を取り上げてみよう。


汗かき母の入れ墨が透ける    粟野賢太郎

入れ墨に縁がないためよくわからないが、汗をかくと透けるのだろうか。それともあるいは、服が薄いためかあるいは濡れることで、その下の入れ墨が透けて見えるということだろうか。どちらにせよ、剛毅な母がこの作者の前には突っ立っているのである。



かあちゃんが言えて母のない子よ  住宅顕信

顕信はこの時、一人息子を自身が入院する病室で育てていた。妻はとっくに出て行ってしまっている。かあちゃんという言葉をどこからか覚えてきたはいいが、この子には母親がいないのである。父親の目線で詠まれた一句。


母の病む冷たい春の桜だ  薄井啓司

「春の桜」とあえて言ったからには、きっと満開の桜であったろう。しかし未だ風が冷たく、母は床に臥せっている。窓からみえる桜を眺めながら、母の快癒を願ってそばを離れられないでいる。

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