2013-08-25

自由律俳句を読む 8 手袋 馬場古戸暢

自由律俳句を読む 8 手袋
 
馬場古戸暢

今回は「手袋」句を集めてみた。たびたび季節外れなことこの上ないが、ご容赦を。

手袋ぬいだ握手がふたむかし  権三郎

ふたむかしとは、いったいどれほどの月日を指すのだろうか。十年ひとむかしと言うから、二十年ほどか。手袋をぬぎ、くたびれた手を差し出し合うこととなったが、その温かさは、あの頃とちっとも変っていないのであった。

粉雪舞う軒に藤色のゴム手袋  北田傀子

冬のある日の何気ない近所の景。粉雪の中に藤色のゴム手袋が映えているという発見を詠んだ。しかしゴム手袋は、なぜああも人目につく色をしているのだろうか。

手袋なくしたことにして長い坂道  山本弘美

なぜ、手袋をなくしたことにしたのか、そしてこの長い坂道を歩いて、作者はどこへ向かうのか。疑問が尽きない句だが、冬のある日のドラマが、ここに展開されているのである。


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