2013-09-15

【週俳8月の俳句を読む】ボールの話 生駒大祐

【週俳8月の俳句を読む】
ボールの話

生駒大祐


ボールの話をします。

7はどうひらくか波の糸つらなる  鴇田智哉

これは速い。しかし、速すぎる。前半のゆったりとした動きから後半に至っての速度に手が追いつけない。

点線の線になりたる速さかな  同

これは遅すぎる。見切れる。遅すぎることを狙ったのかもしれないが、それすらも見えてしまう。

かどのある数字が星のよりどころ  同

これは見えそうで見えない。速度は普通。しかし、緩やかにカーブして手元から逸れてしまう。。

木の揺れを覚まさうと日の裏手へと  同
 
これは少し遅め。早く見せかけているけれども。実は遅い。摑んでみれば、判る。

覚めたるは緑の蓋が嵌めてある  同

ちょうど良い速さ。取ろうとすると、ボールの意外な重さに気付く。

河骨のひらく高さに目のみゆる  同

はじめて見る人なら、気持ちよくキャッチできる。でも、もう見慣れてしまった。

虹あとの通路めまぐるしく変る  同

フォームが最初ふらついたか。それにしては良く伸びた。もう一度投げるのを見たい。

我は藻のまはりに殖ゆるものらしき  同

少し乱暴に投げられている。投げるときの癖も少し出ている。

かほを打ちつけて麦秋までもどる  同

良いボール。適度な速度。コースも見事。すっぽりと気持ちよく手に収まる。

潰れたる西瓜はのちの夜にありぬ  同

良いコースに見えるが、手で投げている。手元まで届かない。


第328号 2013年8月4日
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第329号 2013年8月11日
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第330号 2013年8月18日
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