2013-12-29

「週俳の2013年」回顧 〔1〕一月~四月

「週俳の2013年」回顧
〔1〕一月~四月:第298号~第314号 ……村田 篠


2013年は1月6日リリースの第298号からスタートしました。恒例の新年詠はなんと175句。年々ご投句が増え続けてうれしい限りです。好評連載中の小川春休さん「朝の爽波49」野口裕さんの「林田紀音夫全句集拾読247」もお正月からご登板いただきました。

第299号の10句作品は鈴木牛後さんの「蛇笑まじ」。〈干支回文12句〉という副題の付された、ユーモラスな動物回文句でした。田中悠貴さんの『「一月の川一月の谷の中」再考』は龍太の1句をビート面から考察した興味深い一文。また橋本直さんの「俳句の自然 子規への遡行」が第10回上田信治「成分表」が55回を迎えています。

第300号記念企画として「〔週俳アーカイヴ〕私のオススメ記事」を10人の方にご執筆いただき、「週刊俳句・第300号に寄せて」には16人の方が言葉をお寄せ下さいました。ありがとうございました。また、『角川俳句年鑑2013』の記事「年代別今年の収穫」について書いた小誌上田信治の時評「闘われているらしい」は、本号掲載後反響を呼び、twitter上での対話に発展しました。

第301号ではその反響を受け、一連の議論のまとめとして再び上田信治「続・闘われているらしい」を掲載。また、嵯峨根鈴子さん関悦史さんが金原まさ子句集『遊戯の家』を、小誌西原天気神野紗希句集『光まみれの蜂』雪我狂流句集『天地無用』を読みました。

【週俳12月の俳句を読む】は第299号第300号に掲載。

第302号の10句作品は竹岡一郎さん宮本佳世乃さん。音韻と記憶の関係を解き明かした四ッ谷龍氏の講演「俳句は音韻をどう利用してきたか」を黒岩徳将さんがリポート、さらに【句集を読む】では小津夜景さんが高山れおな氏の「三百句拾遺」(『俳諧曾我』所収)を、澤田和弥さんが山口優夢句集『残像』を鑑賞。また、俳誌『里』で始まった「佐藤文香選句欄《ハイクラブ》」において雑誌の外部に投句の門戸を開いたことを島田牙城さんがご紹介下さった「世界最年少俳句選者誕生」もこの号です。鈴木牛後さんの「牛の歳時記 第14回」は、牛の死と雪の関わりが印象的に描かれています。

第303号の10句作品は照屋眞理子さん福田若之さんの『「べき」との闘い、あるいは「コンビニ」との不貞行為』は俳句批評に一石を投じた意欲的な一文でした。

第304号では皆川燈さんの10句作品を。関悦史さんが刊行されたばかりの金原まさ子さんの句集『カルナヴァル』を「食」の側面から考察。印象に残る鑑賞でした。

第305号の俳句作品は中原道夫さん岩田由美さん。【句集を読む】では久留島元さんが宮本佳世乃句集『鳥飛ぶ仕組み』を鑑賞しています。

【週俳1月の俳句を読む】は第302号第303号に掲載。

第306号から3月です。10句作品は新延拳さん中田尚子さん杉山久子さんのお三方。連載中の小林苑をさん「空蝉の部屋 飯島晴子を読む〔 9 〕」は、難解と言われている晴子の句集『春の蔵』へ分け入るような鑑賞が印象的でした。

3月10日リリースの第307号、10句作品は黒岩徳将さん震災詠について戦争詠から言及した上田信治「俳句の宛先について」は2012年執筆記事の再掲、同じく上田信治の時評「忘れないこととマゾヒズム」は2013年現在での震災と俳句のありようについて論じています。菊田島椿さんの「小原啄葉句集『黒い浪』恵贈への礼状」菊田一平さんによる「解題」もまた震災を考える記事でした。小津夜景さんの「(ぶちまけられたおののき)のような」は、バタイユの思想を動員しつつ、配置、構成、着想の3点から高山れおな氏の「パイク・レッスン」(『俳諧曾我』所収)を読み解いた労作です。

第308号の10句作品は大穂照久さん。【句集を読む】は近恵さんによる金原まさ子句集『カルナヴァル』の鑑賞です。また、65名の方にご参加いただいた「第3回週刊俳句10句競作」の予選通過作品が発表されたのもこの号。本選は3月20日、岸本尚毅さん、阪西敦子さん、馬場龍吉さんの3名によりライブで行われました。

その10句競作の結果発表第309号誌上、意欲作の中から大賞2名(涼野海音さん「日曜日」三浦郁さん「見えぬもの」)と準賞1名(渕上信子さん「頽落の日々」)が決まりました。また、中嶋憲武さんが斉田仁句集『異熟』を読みました。

第310号では、久しぶりの【シリーズ・句集好き】として上田信治林正行句集『宙』を紹介しています。広渡敬雄さんの「俳枕」は本号で第17回。また、1年間小誌のスタッフとして活躍した村越敦がこの号で卒業、後記に言葉を寄せてくれました。

【週俳2月の俳句を読む】は第306号第307号第308号に掲載。

第311号の俳句作品は外山一機さんの「上毛かるたのうた」。もともとは第3回10句競作に応募された作品でしたが、10句のみでの応募を惜しんだ西原天気の呼びかけに応じて全44句を発表。「上毛かるた」を下敷きにした郷土色と言葉遊びが豊かに結びついた一編でした。

第312号の10句作品は豊里友行さん西村麒麟さん。【句集を読む】では西原天気佐山哲郎句集『娑婆娑婆』を読んでいます。また、上田信治本号第313号で「"石田郷子ライン"……?」の前篇後編を、第314号「"石田郷子ライン"余滴」を時評として掲載し、3回にわたって「石田郷子ライン」について検証、論評しました。「石田郷子ライン」とは俳誌『街』誌上の鼎談で中原道夫さんが提出された言葉です。「作品が全体として本当の意味でのライトバースではなくて、軽い。これはいつから起きたというのは定かではないけれどある時代を画して似たようなタイプが出てきた。勿論一人ずつを吟味すれば違うのですが、私の中では"石田郷子ライン"と名付けている。」

第313号の10句作品は渡辺竜樹さん第314号の10句作品は篠崎央子さん松尾清隆さんでした。

【週俳3月の俳句を読む】は第311号第312号に掲載。

俳句作品はもちろん、「時評」や「句集を読む」の充実、その反響、意欲作揃いの10句競作など、印象に残る4ヶ月でした。



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