2013-12-15

自由律俳句を読む 23 『群妙』 〔1〕 馬場古戸暢

自由律俳句を読む 23
『群妙』 〔1〕

馬場古戸暢


山口県防府市を拠点とする自由律句壇クラブ『群妙』は、自由律句(自由律俳句)の「応援の運動体」として、富永鳩山が立ち上げた団体である。防府市立図書館の自由律俳句講座生が参加するなど、地域に根差した句誌となっている。以下二回にわたって、『群妙』13号(2013年3月発行)より、数句を選んで鑑賞したい。

土筆天を指しふるさとの空  井上泰好

ふるさとへ帰郷し、春の只中を歩いているところか。土筆が指す天は、幼少期にみた空と比べて変わっていたのだろうか。

もうすぐ逝く犬と目を合わせている  島田茶々

もうすぐ逝くことが確定しているのが、悲しい。作者の想いをその身で感じながら、穏やかに逝けたことだろう。

遡上する記憶ゆめのぱふぱふ  田中流転

自身が過去にみたゆめの中で、「ぱふぱふ」を味わったということか。ドラゴンボール世代であれば、ぴんときてしまう一句。

畦道あかく染め今年も彼岸  下瀬美保子

毎年しずかに、ご先祖様を想っているのだろう。彼岸花が咲く畦道を今年も歩いて行く作者の姿が浮かぶ。

捨てられた猫に初めての冬がくる  鴫田敦紀

説明文のようにも思えるが、韻律は確かに存在する。この子猫が、屋外で冬を過ごさずにすんだことを祈りたい。

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