2014-02-09

自由律俳句を読む30 吉岡禅寺洞 〔2〕 馬場古戸暢

自由律俳句を読む30
吉岡禅寺洞 〔2〕

馬場古戸暢


前回に引き続き、吉岡禅寺洞句を鑑賞する。

大空をさゝえて仏舎利塔の昼がまだある  吉岡禅寺洞

子供の頃に住んでた家の近所に、仏舎利塔があった。何なのかまったく見当がつかず、やけに怖かったのを覚えている。大空を支えていたのか。

鶴の墓あるかときけばだまつてゐる  同

殉職?した鶴で有名な観光地での景だろうか。あるいは、鶴を預けた知人を訪ねた時の様子か。たぶん鶴の墓はつくられることがなかったのだろう。

人がきて おめでとうというので 元日となった  同

禅寺洞は元日を来客の挨拶にみた。私は元日を新聞の広告の厚みにみる。

新緑がもえても平和の鳩がとびたたない  同

鳩にはとびたたない自由があることが、よくわかる句。なおたまに、平和を押しつけられた鳩の気持ちを考えることがある。

季節の歯車を 早くまわせ スウィートピーを まいてくれ  同

禅寺洞の辞世の句。最後の最後にこうした自由な句を詠んで逝ったところに、「らしさ」をみたい。


※掲句は、上田都史ほか(編)『自由律俳句作品史』(1979年/永田書房)、裏文子「吉岡禅寺洞」(『自由律句のひろば』創刊号/2013年)より。

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