2014-04-13

特集「ku+」第1号 反響 「赤旗」3月31日「俳壇」 中村裕

特集「ku+」第1号 反響
赤旗 3月31日「俳壇」

中村裕


本欄でも紹介した柿本多映『仮生』が詩歌文学館賞、澤好摩『光源』が芸術選奨文部科学大臣賞、高野ムツオ『萬の翅』が読売文学賞を受賞した。

みな定評のある大きな賞で慶賀にたえないが、注目したいのは師系である。

それぞれの師は、柿本は赤尾兜子、澤は高柳重信、高野は佐藤鬼房で、期せずして三人とも新興俳句系。これは壮観といってもいいのではないだろうか。

旧弊な俳句への抵抗から始まった新興俳句運動は、治安維持法違反の嫌疑で主要な俳人が逮捕され、国家権力によって暴力的に終息させられる。しかし、その水脈は枯れることなく、戦後もしぶとく生き続けてきたことを立証するかのような三人の受賞である。

俳人における師弟関係はたいへん重要な意味を持つが、簡単には一般化できない。個々のケースによってあり方がみな違うからだが、世代による濃淡は顕著なように思う。

たとえば最近の若い世代におけるそれは、きわめて希薄だ。

インターネット世代による俳句雑誌「クプラス」が創刊されたが、平均年齢36歳という同人たちには、尊敬する俳人、影響を受けた俳人というのはいても、誰かにはっきり師事していると意識している人は少ないようだ。

しかし、発行人で若手論客の高山れおなによる、親子ほど年齢差のある鈴木明へのインタビューなどには、世代的自閉世界を抜け出ようとする意欲が感じられ、かつて師弟関係が担っていた役割は、異なった形に姿を変えていくのではないかということを予感させる。

ただ、年二回の刊行ということだが、定期刊行物としての紙媒体の生理という点からすると、せめて年四回は出してほしいところだ。

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