2014-04-13

特集「ku+」第1号 読み合う 爆発一句  関悦史

特集「ku+」第1号 読み合う
爆発一句

関悦史


 父の爆発山脈をみちづれに 谷雄介

およそあらゆる文脈を欠いた力の暴発として、爆発に勝るものはない。
この父の爆発は復讐なのか、襲撃なのか、それとも不手際による事故なのか、持病の発作なのか、はたまた単なる趣味なのかを弁別しうる手掛かりを一切与えないままに唐突に起こるのだが、「山脈をみちづれ」にしていることを考えれば、激怒の喩えとしての「爆発」などではなく、ごく物理的な、文字どおりの爆発現象と取られなければならない。

「秋山」でも「春山」でもない、季語的な情緒から離れた「山脈」の無機質ぶりが心地よい。

そしてこの「山脈」はスケール感が変である。みちづれにされたのが「坑道」や「山肌」であれば工事中の事故といった読み方もなりたつが、「山脈」を吹き飛ばす爆発力となると巨大隕石でも落ちなければ発生しないのではないか。

はじめから合理性を爽快に無視している句である。兵器などではなく、生体としての父自身がいきなり爆発したのだろう。極めてドライな喪失である。

この句を見て、近頃、知らず識らずのうちに、ダダ的なものに飢えていたような気がしてきた。震災以後に限った話でもないだろうが、人の心情にいつの間にか添いすぎて、呑まれかけていたというべきか。ただし反対に、破壊の解放感に呑まれてしまうことももちろん好ましくはないのだが。時勢を考えれば特に。




   ・「ku+」創刊号について、なにか【ひとこと】

 私は企画にはタッチしていないので、よくこういう雑誌が出たなと。あまり前例がないテイストなのでは。

 誰かのツイートで見かけて以来、第二特集「番矢と櫂」の口絵が『くいしん坊!万才』にしか見えなくなっています。

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