2014-05-18

〔今週号の表紙〕第369号 うま 小津夜景

〔今週号の表紙〕
第369号 うま

小津夜景




一週間の休みがあったので、ローマに行きました。

ホテルに荷物を置いて、まずはコロッセオへ。コロッセオは自然石ではなく、ローマン・コンクリートという人造石からできているそうです。現代のコンクリートとの最大の違いは火山灰を活用している点で、耐用年数も数千年とのこと。この手の建築ネタは超大好きなのでもっと知りたいなーと思いつつも、あいにく適当な本が見つからず色々と謎のまま。


ところで建築ネタといえば、ローマの教会には、北イタリア風の内省的な洗練が全くありません。おそらくヴェネト地方やトスカーナ地方が好きな人には、辛い都市なんじゃないでしょうか(実は私も苦手)。北イタリアでは、偉大さを狙ったとしかいいようのないタイプの教会も、そこはかとなく知的で繊細。意図的な「抜き」に関しても充分で、全体的な見晴らしがすっきりとしています。他方ローマでは、名所とされる建物がどれも見ていて恥ずかしくなるくらい偉そう。また内装も、名工たちの決まり手といった作品で暑苦しく固められていて、まさに皇帝のノリとでも言えばよいのか、民衆を威圧する雰囲気がおそろしく強いです。

で、そのようなノリの苦手な自分はローマで何をしたのかというと、古代人のつくったお墓まわりのアイテムを物色しました。これがものすごく楽しい。様々な彫刻のかけらや副葬品などを見て「部屋に飾りたいなー」と思ったり、碑文を眺めてなんとなく読めそうな気になったり。



そしてもうひとつの楽しみは、ローマ市街を一望することのできる、サン・ピエトロ大聖堂のクーポラに登ったこと。この大聖堂はミケランジェロが大人の悲壮な事情で設計することとなったヴァチカン総本山です(そういえばミケランジェロの彫刻とシスティーナ礼拝堂の画は、俗な偉大さばかりの意匠の中、やりたい放題の精神が感じられ実に宜しいです)が、このクーポラの頂上に至る螺旋階段が暗く、狭く、険しく、なんと551段あって、踏みしめ心地もたいへん素晴らしいのです。上って、下りて、またすぐ上りたくなるステップなんてそうそうありません。あの階段をつかって毎日足腰を鍛えることができたらなんて素敵な人生だろう、なにかの達人になれちゃいそう、と思い出すたびにわくわくするのですけれど、そこまで無為で童戯な有閑生活とはさすがに一生縁がなさそうで、少々残念です。



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