2015-01-04

自由律俳句を読む 74 秋山秋紅蓼〔2〕 馬場古戸暢

自由律俳句を読む 74 秋山秋紅蓼〔2〕

馬場古戸暢


前回に引き続き、秋山秋紅蓼句を鑑賞する。

やまのしずけさはいちりん咲いてむらさき  秋山秋紅蓼

この句通りの景が広がっていたにすぎないのだろうが、私自身がこうした雰囲気を好むためかどうしても採ってしまう。景をそのまま詠むに、自由律俳句は便利だと思う。

漬菜の塩がこぼれてゐて日のくれ  同

知らないうちに齢を重ねたのか、最近、漬物が好きでたまらない。掲句を読んで軽く涎が出て来たが、子供の時分にはそうしたこともなかったはずだ。よい変化である。

春の白い富士に犬が来てゐる野の道  同

富士を遠くに見ることができる峠で詠まれたものか。ここでの犬は、きっと野良犬であっただろう。野良犬が消えている昨今において、こうした句を詠むことはできるのだろうか。

新茶ふくみてみどりの朝を身にする  同

漬物と同様に、最近、お茶が好きになってきた。長らくコーヒーばかりを飲んできたが、そろそろ「みどりの朝を身にする」時が来たのかもしれない。

梅花無残散つて咲いて散り果てている  同

要は、梅の花が散ったということである。しかし、このくどさに面白みを感じて、採ることとなった。どれほどの散り具合だったのだろうか。

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