2015-03-22

【八田木枯の一句】深夜よりかがやくものは花の種 西原天気

【八田木枯の一句】
深夜よりかがやくものは花の種

西原天気


花の種には、まあ、種子一般そうではあるのですが、〈未来〉があります。

深夜よりかがやくものは花の種  八田木枯

朝あるいは昼に蒔かれる種が深夜からしてすでにかがやいている。これは種子が〈未来〉を包含しているから、ということも言えましょう。

茎や葉を伸ばし花を咲かせて実を結ぶそうした〈未来〉よりも、〈未来〉を〈予定〉として、あるいは〈思い〉〈希求〉として持つ種子のほうが〈未来〉そのものよりもむしろかがやかしいのかもしれません。

掲句は第6句集『鏡騒』(2010年)より。

細かいことを言えば、「に」ではなく「は」という選択に注目。「~するもの(のひとつ)に~」というパターンを忌避したうえでの「は」でしょうか。花の種こそが深夜よりかがやくものなのだ、という断言となり、「に」パターンから遠い出来上がりになっていると思います。


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