2015-05-31

自由律俳句を読む 95 さはらこあめ〔1〕 馬場古戸暢

自由律俳句を読む 95
さはらこあめ〔1〕

馬場古戸暢



さはらこあめ(1973-)は、結社未所属の自由律俳人。以下では、自由律俳句誌『蘭鋳』(雲庵、2014)より数句を選んで鑑賞したい。

だれかたすけてにんげんにうまれた  さはらこあめ

にんげんにうまれた以上、もろもろの苦悩から逃れることはできない。事態を認識できないにんげん以外の何かにうまれた方が、楽な気はする。

母を憎んで同じ顔になっていた  同

遺伝子の強さ。後天的な影響もあるのだろうか。

嘔吐する母の背骨の蝉時雨  同

夏の暑い盛りに嘔吐する母に寄り添う。疲労がこちらまで伝わってきそうである。

あついあつい骨を手に取る  同

箸を使わずに直に手に取った。誰か特別な思い入れがある人が焼かれたのかもしれない。

母のふくらみに眠る  同

今夜も母のふくらみが呼吸しているのを確認してから、布団の中に潜る。そうした
静かな日常もまた、心地よいものである。

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