2015-07-05

自由律俳句を読む 100 矢野錆助〔2〕馬場古戸暢

自由律俳句を読む 100
矢野錆助〔2〕

馬場古戸暢



前回に引き続き、矢野錆助句を鑑賞する。

浅い眠りに氷の溶ける音  矢野錆助

薪がぽきんと折れる音で目が覚めるシーンを以前に映画で見たが、この句もそのような状況を詠んだものだろう。夏の昼下がりの気だるさを詠んだものと見た。

捕えたバッタ五本足  同

意外と足なしでも生きていけることに気づいた子供の時分、自身の足の切断を親に頼んで困らせたことがある。申し訳ない子供だった。

暗闇の水溜りにはまる  同

そのまますぎるためか、そのままに景が浮かんでくる。そこに面白みを感じる。

棚田山影に沈む  同

棚田の景色は、とにかく美しい。夕焼時であれば、掲句のようになおさらなのである。

誰ぞの軍手に霜の降る  同

よい景。こうした音のない句は、静かで時間がある時にゆっくりと味わいたいものである。

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