2015-08-23

10句作品テキスト ラジオと海流 大塚凱

ラジオと海流 大塚凱

裸子は風に鳴るべくおほきな樹
バス停の蚯蚓を踏んでゐた時間
真清水が指紋の渦を巻きなほす
釘打てば夏しんかんと脈走る
向日葵を裏より見れば怒濤かな
八月のラジオ海流のぶつかる音
花野吹かれてトランプのやうに散る
夢は雲のはやさで忘れ水澄めり
葡萄樹をゆけば船室のゆらめき
灯台のこころで露の駅に待つ


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