2015-09-27

〔今週号の表紙〕第440号 ビール工場 近恵

〔今週号の表紙〕
第440号 ビール工場

近 恵



ピカピカのものが好きである。殊にステンレスやアルミやトタンの、そういった金属が、新品ではなく使われながら手入れされてピカピカしているのが好きだ。それも銀色なのがいい。更に形が美しければ尚よい。例えば初代ポルシェ911のバンパー、柳宗理のキッチンアイテム、ロータリーエンジンの内部、業務用冷蔵庫のステンレスの扉、そういったモノ達。自分でも上手く説明できないが、自分の中の何かしらの基準に基づいて「ピカピカのもの」と、光っているけどそうじゃないものに区分けされているようである。

ある日、見学の最後にビールがただで飲めるというのでウキウキしてビール工場見学に行った。ガラス越しに見たビールの製造現場は見事にピカピカだった。巨大なタンクや複雑な配管のパイプたち。しかも灯りが昼光色。美しい。仕切りのガラスにヤモリのように張り付き、しばし見とれたのである。

見学をした時は、鮮度抜群の生ビールを実に上手にグラスに注いでもらい、ごくごくごく、ぷっはーっという感じで気分良く終わり、自分の中では「美味しいもの」にカテゴライズされたと思っていたビール工場なのだが、こうして改めて写真を見ていると、醸造タンクなどはむしろ「ピカピカなもの」にカテゴライズされるようである。こうして私のビール工場は、ガマグチのような初代ポルシェ911のバンパーや、噴射されたガソリンを燃やし続けるロータリーエンジンと同じものとして永遠にピカピカし続けるのだ。


 
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