2015-12-27

人が居た場所に立ってみると。 シリーズ「八田木枯の一句」の楽しみ方 茅根知子

人が居た場所に立ってみると。
シリーズ「八田木枯の一句」の楽しみ方

茅根知子



八田木枯の一句は角谷昌子、太田うさぎ、西村麒麟、西原天気の4人が交代で執筆する連載である。執筆者一人の連載と違って、毎回いろんな色の文章が楽しめる。取り上げた俳句について知ることはもちろん、その俳句を取り上げた理由・クセ、解釈の切り口、そして俳句を“どの位置”から見たのか、それぞれの居場所からの発言を読みながら、なるほど…と呟く。

「八田木枯の一句」は、まったく異なる色の4人が書いている。そこで「執筆者×取り上げた俳句」の組み合わせを入れ替え、この人ならこの俳句をどう解釈し、どんな文章を書くのか想像してみる。すると、これがけっこう面白い(執筆者には失礼をお詫びします)。こんなことができるのは、執筆陣の組み合わせが絶妙だから。4人が、付き過ぎあるいは奇を衒ったような取り合わせだったら、この楽しみ方は成立しない。例えばと言って正しいのか分からないけれど、例えば、カツオのたたき×マヨネーズ、お寿司×チリソースといったB級グルメ(邪道というべきか…が、実際にある食べ方でクセになる人がいるとか)的な、もうひとつの楽しみ方である。

「執筆者×取り上げた俳句」を入れ替えて想像すると、画面や紙に張り付いていた俳句が、ぐぐっと三次元となって立ち上がってくる。前後左右の90°方向はもちろん、360°を小刻みにして、どの場所からも俳句を眺めることができる。今まで見たことのない角度から俳句を眺めることによって、新しいことを発見する。イメージとしては、サカナクション「アルクアラウンド」のMV 1:30あたりに出てくる文字みたいな(※)。ある方向から見ると何だか分からない物が、ある一瞬の場所から見ると、形=文字になる。同じ俳句なのに、別の顔がふっと見えてくる。

人が居た場所に改めて立ってみると、まったく違う風景が見える。「八田木枯の一句」は、絶妙な取り合わせの執筆陣により、俳句って只者じゃないなぁと真面目に考えつつも、B級グルメ的面白さを体験することができる。


※サカナクション「アルクアラウンド」(1:30あたり)


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