2016-03-13

後記+プロフィール 第464号

後記 ● 村田 篠

先日、台東区の「合羽橋(かっぱばし)」というところを吟行しました。東京では知る人ぞ知る大きな道具街です。

たとえば、新しくレストランを開こうと思っている人は、ここへ行くとすべて揃います。調理用具や食器だけでなく、テーブル、いす、看板、エプロン、水槽、冷却機、食品サンプル、業務用の紅生姜や福神漬け、業務用のカレールーやシチューの素、世界のコーヒー豆等々、なんでもあります。

もちろん、一生レストランを開く予定のない人が行ってブラブラするだけでも、最高に楽しめます。刃物屋さんの店頭には、包丁ではなく鎌が美しくディスプレーされていたり、家庭用のたこ焼き器もあるし、箒なども売っています。

ただ、この街に行って困るのは、使う予定のないものをつい買ってしまうということです。「道具」というのは、ある種人間の好奇心と憧憬が形になったものですから、見るとほしくなってしまうのです。

そしてもうひとつ、けっこう困ることがあります。この道具街には食べ物屋さんがありません。おなかが空いたり、ちょっとコーヒーを飲みたいと思っても入るところがありませんし、買い食いをするコンビニもありません。

これからレストランを開くための道具はあふれているのですが、レストランそのものがないという、合羽橋はある意味潔い街なのです。



それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.464/2016-3-13 profile

■広渡敬雄 ひろわたり・たかお
1951年福岡県生まれ、「沖」同人、「青垣」会員、「塔の会」会員、俳人協会会員。句集『遠賀川』『ライカ』(ふらんす堂)。2012年角川俳句賞受賞。

■瀬戸正洋 せと・せいよう
1954年生まれ。れもん二十歳代俳句研究会に途中参加。春燈「第三次桃青会」結成に参加。月刊俳句同人誌「里」創刊に参加。2014年『俳句と雑文 B』を上梓。

■しなだしん しなだ・しん
1962年新潟県柏崎市生まれ。東京在住。「青山」同人、「塔の会」会員、俳人協会幹事。句集に『夜明』『隼の胸』。

■宮本佳世乃 みやもと・かよの
1974年東京生れ。2015年、「オルガン」を始動。「炎環」「豆の木」。句集『鳥飛ぶ仕組み』。

■西村 麒麟 にしむら・きりん
1983年生れ、「古志」所属。 句集『鶉』(2013・私家版)。第4回芝不器男俳句新人賞大石悦子奨励賞、第5回田中裕明賞(ともに2014)を受賞。

■畠 働猫 はた・どうみょう
1975年生まれ。北海道札幌市在住。自由律俳句集団「鉄塊」を中心とした活動を経て、現在「自由律句のひろば」在籍。

■近 恵 こん・けい
1964年生まれ。青森県出身。2007年俳句に足を踏み入れ「炎環」入会。同人。「豆の木」メンバー。2013年第31回現代俳句新人賞受賞。 合同句集「きざし」。

■村田 篠 むらた・しの
1958年、兵庫県生まれ。2002年、俳句を始める。現在「月天」「塵風」同人、「百句会」会員。共著『子規に学ぶ俳句365日』(2011)。「Belle Epoque」

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