2016-05-29

〔今週号の表紙〕第475号 行々子 有川澄宏

〔今週号の表紙〕
第475号 行々子


有川澄宏


ご承知のように、夏の季語「葭切」の傍題ですが、私が好きなこちらを題名にしました。
夏鳥のオオヨシキリが、「ギョギョシ ギョギョシ」と高い声で鳴くことから、名付けられたと言われているように、5月から7月一杯ぐらいまで鳴き続けます。他に似た鳴き方をする鳥はいません。

写真の「行々子」は、渡良瀬遊水地の葭原で撮った一枚です。一周が山手線に近い、広大な葭原のいたるところで、縄張りを大声で告げていた「行々子」。

多摩川・秋川合流付近など、河川の中流域の葭原でもよく聴いたり見たりしましたが、公害問題の原点と言われる渡良瀬の旧谷中村の近くで、葦の群落に囲まれ、今も鉱毒が残っていると言われる湿地に立って、闘いつづけた田中正造を想い、夏空を仰いでいた一日、そこで撮ったこの景色が忘れられません。

葭切は、古くは葭雀などとも呼ばれていたようですが、「葦切」の語源は、「葦の茎に穴をあけて、虫を食べるから」という説と、ヨシ群生地を繁殖地として営巣することから、「ヨシに限る」から"よしぎり"という名になったという、二説があります。私は葭の群生地以外で出会ったことがないので、強いて言えば後の説です。また「葭」と「葦」の使い分けは難しいですね。

このオオヨシキリは、しばしば1羽のオスに対し複数羽のメスによるハーレムを形成する、一夫多妻の種です。

抱卵は雌に任せて、次のパートナーを求めて昼も夜も鳴き続けます。浮気者と呼ばれようと、子孫をのこすために懸命に鳴くあの赤い口を見ていると、こちらまで、元気になります。最近知ったことですが、動・植物は永い年月をかけて、自己の種が絶滅しないよう、環境の変化に適合出来るように、DNAを変えていくのだそうですね。

私の住む東京多摩地区では、オオヨシキリは、すでに絶滅危惧Ⅱ類になっています。

なお、草原性の鳥カッコウが、託卵をする鳥の一種です。



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