2016-07-31

夏休み納涼句会 投句一覧

夏休み納涼句会
投句一覧

68名様の参加をいただきました。ありがとうございます。選句については、別ページ・選句要綱を参照ください。


【糸】

うたた寝の糸をたぐれば海へ出る

エクスタシーにまつわる細く赤い糸

かちわりに必殺仕事人の糸

きらきらとひとすじの糸飯饐える

こぼるるは糸と真夏の笙の音

スベリヒユ木偶の先より糸伸びて

ちんぽこに糸をぐるぐるなんか晩夏

はちぐわつの糸巻エイの面構

はつ夏の糸鋸をひく透かし彫り

ほつれ糸ほつれつづける秋の裏

マクベスの魔女等糸取鍋を守る

よくできた妻に井守の糸きたる

一族とか糸瓜とか揺れ笑えない

雲が峰糸に吊られし科特隊

夏去るとあはれ糸魚の婚姻色

夏座敷着物に残るしつけ糸

夏深む蔵の二階に糸操り機

鬼火のやう釣糸のやう草いきれ

空蝉の背ナに白じろ糸のくづ

県道へ一糸まとはぬ生身魂

香水とジゴロ金に糸目をつけぬとも

祭来る文字を豪奢に刺繍糸

三伏やまた朝が来る錦糸町

仕付け糸きらり引き抜く夏衣

糸くずのふるふるなびく南風かな

糸つけてシオカラトンボ放ちけり

糸の先モンローウォークのタランチュラ

糸ようじの通らぬ歯間夏の果

糸引きに春を捧げた母の唄

糸瓜や郵便局は路地の奥

糸瓜忌の糸瓜を長く垂らしけり

糸巻きのからから回る終戦日

糸鋸盤並びて月の涼しかり

糸魚川静岡構造線は朱夏

糸通しに顔のエンボス西日さす

糸電話の相方遠し草いきれ

糸吐いて吾子もモスラも繭ごもる

糸偏の文字ではないが草いきれ

糸蜻蛉はくもりの朝に生まれける

歯に切れば糸の味せり浴衣縫ふ

初恋を語る糸目の生身魂

女装家の一糸まとひて踊りけり

小気味よい糸切りはさみ夜の秋

針と糸公武合体いたします

水眼鏡外し少女の糸切歯

声糸井重里的な夏休

西日差す奥歯に糸を掛けにけり

赤い糸やがて鎖となる酷暑

葬列についと加わる糸蜻蛉

大鱧の口より糸の端が洩る

短冊が身を任せてる柔い糸

短夜の鏡は厚し糸やうじ

蜘蛛の糸光るや月に愛されて

蜘蛛の糸虹色にして夏旺ん

昼寝ざめ糸吹く夢の口をする

釣り糸の切れた反動夏終わる

二の糸の切れ変調の晩夏かな

撚り糸を戻す男女の短夜かな

納豆の糸不器用に夏料理

抜糸までの日数かぞふる涼しさよ

晩夏へとゆっくり抜けてゆく糸よ

瓢箪の棚キリキリと嫉妬

噴水に母はゐませり針と糸

母の歯に糸の切らるる夜の秋

峰雲や糸の目指せる針の穴

夕立が糸ならばやさしく頸を絞める

冷やし中華錦糸卵の婀娜たるや

杼のすべる糸のあはひや青簾


【電】

いっせいに電球切れる茄子畑

さるすべり海の見えない長電話

サングラス江ノ電けふも満員で

ででむしや家出のそおっと終電車

びりびりと雷様の尻尾かな

フランケンシュタイン首の電極抜く晩夏

ほろほろと電気クラゲを閉じ込める

みんみんの配電盤に来ては鳴く

襖から逐電中の草いきれ

夏の夜が電流爆破デスマッチ

回天や雲の峰より放電す

缶ビール0四つ点く電気釜

亀回る回って溜めるエレキテル

銀漢や船長室に鳴る電話

空蝉に電柱かよ良いな背中

空蟬は電話のをとを運びをり

原爆忌危篤の叔父より電波の来

言葉から電子飛び出す涼しさよ

江ノ電を止めて祭の通りけり

降灰の街行く電話夾竹桃

手に金魚  なんか電気の匂ひがする

終電の曳きて行きたる夏の月

充電の切れしシェーバー夏休み

上くちびると下くちびるに静電気

青蔦の体のどこに電源が

蝉時雨電線しとしと濡れており

帯電す向日葵びっしり枯れ尽くし

帯電のからだ気怠し扇風機

端居して電池残量急に減る

竹婦人電池仕掛けの細き声

逐電の妻から便り桐一葉

停電が百年ゲジゲジしかいない

停電で金魚の代り刺身買ふ

底紅や留守番電話の受話器持ち

電気つけて見るかぶとむしめんどくさい

電源オンオフオンオフオン夏惜しむ

電源を切るのを忘れ日雷

電飾が延命を乞ふ夜店かな

電飾の昼の点滅水を打つ

電線に去年の凧の胡瓜揉み

電線に雀やサンバカーニバル

電線のつなぐ家々大夕焼

電卓や忽微繊沙という位

電柱に生まれて蟬を鳴かせけり

電柱の傾いてゐる溽暑かな

電動珈琲ミル一閃す夏の雲

電話ごし同じ花火を見てをりぬ

電話すると言つた翌日蛇と化す

東電の試験に落ちて昇竜に

桃色の夏着電気の検針員

豆電車ビール畑を突っ走る

動きだす電車つられる夏帽子

虹消えて虹より遠き電池かな

入道雲東電本社包囲さる

白い夏野へ我が電飾の車椅子

白無垢脱ぎ冷房の席に電報

半夏生ツバメ一家で電線に

半夏生電子タバコを咥へけり

晩夏の書序章末尾に逐電と

風死して終電車にはキスマーク

風鈴や電気クラゲがぶらさがる

噴水の電源切るやただの水

放電によろけて絡みつく裸身

夜濯ぎの空のどこかに発電所

有楽町電気ビルヂング南館北館晩夏光

留守電に嗚咽の潜む羽蟻の夜

冷蔵庫奥で放電する電池

籐椅子や山麓をゆく終電車


【話】

「あ」と「う」から始まる会話夏深し

Gペンに童話の挿絵描き涼し

アニマルは奇術のような話術です

イグアナとエコの話で盛り上がる

かわほりの打ち明け話逆さかな

クワガタの話だんだんおおげさに

ここだけの話デンドロカカリアと

サルビアを咲かせてゐたる痴話喧嘩

しやくとりや別役実童話集

たわいない女の話アマリリス

なるならばもしもの話だけど枇杷

ぽつぽつと麦酒の泡の話でも

ものがたり蟻が人喰ふ道の端

一筋の滝を挿話となせる山

一枚の湖面になってゆく話

遠雷や老人たちが糸電話

夏場所や話してばかりの客のをり

海月浮く長い話の終るころ

寓話から出られない太ったカラス

形代や話弾みし一両車

紅涙を誘ふ話術や日の盛

黒麦酒とにかく話だけ聞こう

犀ほふる話はも百物語

山車洗ふ神話の御代と同じ川

志ん朝の人情話冷やし酒

詩の話恋の話や巴里祭

次々とスイカが割れてゆく話

次々と変る話題やソーダ水

蛇を見る腹話術師のやさしき目

若竹の腋臭を若造の話

守宮来て余分な話はぶかれる

手で話す二人に遠き花火かな

拾つた手紙の話或いはあの夏のすべて

暑いねは腹話術師の暑いねに

暑き夜や腹話術師のよどみなく

小話のあとの西瓜のなまぬるき

神話とは木炭の夜ひぐらしの夜

神話より三日後の空ところてん

星今宵雨にくぐもる腹話術

青ほほづき叔母の再婚話かな

雪女たとえ話に不適切

仙人掌の花や受話音量最大

扇風機土地改良の話せむ

地獄の釜の蓋あく話冷奴

蜘蛛垂るる腹話術師の目の虚ろ

昼寝覚聞くともなしに手話ニュース

電話ボックス砂とくの字に死ぬ蜂と

桃の皮雨は神話の中に降り

白桃の匂い誰にも話さない

夫の友とする香水の話かな

風鈴や話した人のゐなくなる

腹話術の人形嗤う日雷

聞かなければよかつた話冷奴

保険勧誘熱きAIロボナオミ

盆踊りスピーカーから秘話もれる

密漁の話や桐の実の鳴つて

夜話を反芻したる浴衣かな

留守番の金魚に話しかけてから

緑陰や風の童話を聞いてをり

話さうとすればちぎれてゐる胡瓜

話しつつブラはずしゐるトマトかな

話し声の主明らかに昼寝覚め

話せばわかるブーゲンビリア咲く

話だけ聞けば海月のことと思ふ

話には聞いている花火と違う

話にもならぬ話を真桑瓜

話術などつひぞ磨かず金魚売

蛞蝓に短き舌のある話


以上、計204句


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