2017-01-08

週刊俳句 第507号 2017年1月8日

第507号
2017年1月8日


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特集 2017「週俳」新年詠

31日
猿曳や山窩の文字は上代語 谷口智行 
酉年のさっそく逃がす青い鳥 
塩見恵介

1日
去年今年「完全にシロです」とテレビ 今井 聖
初打ちの博徒ども皆息白し ゆなな子
宝船開いて出てくる缶詰バー 
藤尾ゆげ
ゴジラたちの進化信じて屠蘇の膳 
片岡義順
数の子のたつた一粒だけが天才 
藤本る衣
おんぎゃあと泣けば淑気もたじろいで 
阪野基道
初空や左に東右に西 
羽田英晴
こぞの波ことしの波と交わりぬ 
鈴木茂雄
バスは元日明るい丘の上の家 
山田露結
体温計腋にはさんで雑煮膳 
西村小市
潮騒の夜を恋唄の歌留多かな 
中村 遥
都庁舎の左に上がり初日出 
齋藤朝比古
はち切れさうな青空犬も年取るか 
玉田憲子
鶏旦の日の丸何か焦げてゐる 
竹内宗一郎
うまず女が箆もてなぶるあけの海 
九堂夜想
年新た鳥や獣にかかはらず 
大島雄作
玉霰ひととき町の古色めく
 大西 朋
熱燗や尻尾触ってくる先輩 
宮崎斗士
古代史の鳳がいる天の川 
宇井十間
宇宙人から初メール文字化けや 
渕上信子
ほかほかのうんこ流して寝正月 
松本てふこ
BAR「どきどき」雑煮出されても困る 
瀬戸正洋
ゐすくめる猫に跳びはね初鴉 
岸本尚毅
初夢を見た 瞬きはしましたか 
久留島元
去年今年一緒にゐるといふだけの 
杉田菜穂
さみしくはない雪の香と若水と 
五十嵐秀彦
大いなる雲を割りつつ初日かな 
岩上明美
東雲に一列の鳥初明り 
広渡敬雄
ふじやまとあふぎにたまをお飾りす 
金原まさ子
裘スピーカーより雅楽降る 
森山いほこ
去年今年回転ドアーの出入口 
隠岐灌木
マウスの手汗へ初陽
 馬場古戸暢

2日
玉手箱忘れてきたる初寝覚 森脇由美子
人形の服脱がす遊びや去年今年 
鈴木桃子
元日の空の広さを持て余す 
幌谷魔王
変はりゆく街の輪郭初茜 
笹木くろえ
明けやらで今年はじめの闇がある 
畠 働猫
消極的全体主義という淑気 
赤野四羽
弟が彼女をつれて初写真 
紀本直美
初春や居抜きに並ぶ福袋 
琳譜
体内の芯より覚めて初明り 
藤田翔青
元日の仏壇に溢るるバナナ 
中山奈々
ト音記号咥へて来たる初雀 
金子 敦
お雑煮を食みつオリーブ油の話 
松尾清隆
裏へ抜け出て逆光のフルバック 
佐山哲郎
老犬が老婆連れ散歩冬の朝 
鳴戸奈菜
老犬のよろぼひに付き恵方道 
すずきみのる
朱欒とともに還暦の湯につかりけり 
清水良郎
初春の柚子一つもぎ子らを待つ 
石鎚 優
初夢の鱗ひとひらずつ光る 
月野ぽぽな
たじろぐや元旦にして日曜日 
岡村知昭
先づ空とそれから海と屠蘇酌めり 
矢口 晃
明治神宮からましぐらな初鴉 
筑紫磐井
ねこやなぎの枝の出てをりぬ初夢に 
小川楓子
二日はや沈みやすしよスープのコーン
 池田澄子

3日
飛び立たぬ掛蓬莱のひかりかな 櫂未知子
這ひ這ひに終点のなく去年今年 杉原祐之
蓬莱や朝陽にまなこそそぎたる 五島高資
花も実もなき庭なれど初雀 熊谷 尚
重箱の隅に群れをり小殿原 宇志やまと
おざなりのシュプレヒコール春着着て 矢作十志夫
大旦照りながら旗なびきける 対中いずみ
海光の鳥から人に流れけり 曾根 毅
餅花の下に置かるる菓子の皿 倉田有希
浦和より遠き大宮お元日 村越敦
雪原に噴煙の影初浅間 仲 寒蟬
隈笹に跳ぬる雨粒初炊ぎ 山西雅子
日本の酒を買い占め初寝覚 三木基史
人を打つ癖のある人福笑 塩見明子
逆立ちと土下座間違い去年今年 月波与生
笑福亭仁鶴観えたる三日かな 中原寛也
かりそめの仮屋に生きて仮眠かな 三沢しどう
背きあひ話す西瓜の初夢を 牟礼 鯨
箱根駅伝待つてそぞろのお元日 照屋眞理子

4日
はつ春や犬のいびきのぶうと鳴る 木田智美
閉ぢゐたる指に隙間や去年今年 中西亮太
獅子舞の一行島根ナンバーで去る 小林かんな
歌留多のように貼る母のサロンパス 豊里友行
初鳩が渦巻く世界のプロペラ クズウジュンイチ
獅子舞はペデストリアンデッキの上 トオイダイスケ
親よりも遠く見る児や初写真 髙橋透水
友来たる而して二日酔いの三日 マイマイ
無精卵は鶏にあらずや大旦 岡田一実
ジョーカーの巡つてゐたる三日かな 柏柳明子
柴又へひらひら届く年賀状 河野けいこ
膨らんでをりペット屋の福袋 西生ゆかり
合掌や両の手首の福袋 黒岩徳将
鳥になるまでの幸せ枯向日葵 彌榮浩樹
お元日金属探知機の鳴りぬ 岡田由季
初鶏の四面楚歌より淋しけれ 堀田季何
猪の子が駆け今日は光る山 花尻万博
をととしと同じところに初筑波 岡野泰輔
だれにでも甘える犬やお正月 遠藤千鶴羽
セールスマン住宅街の四日かな 三浦 郁
松過ぎの門を出て来る家鴨かな 山口昭男
眉太き青年来たる初句会 涼野海音

5日
若水や南部鉄瓶鉄の音 石原 明
誰が触れし繭玉の揺れ二年坂 藤崎幸恵
陽光や石材屋から年賀状 野口 裕
あこがれはあこがれとして蜜柑剥く 西丘伊吹
初東風とかほのごとくに出会ひけり 小津夜景
銀幕は初日を知らぬまま灯る 青木ともじ
戦艦のはまぐり鳴かぬ雑煮かな 嵯峨根鈴子
無抵抗主義ガンジーと待つ初日 津髙里永子
海神は山神を恋ひ年迎ふ しなだしん
似たやうな人の増殖初詣 小久保佳世子
鏡餅吹つ飛ぶ父のDVに 林 雅樹
なまはげや母を亡くせし子供らに 前北かおる
立返る玉斧の光年新た 川越歌澄
川に出て世界まばゆし初電車 南十二国
お披露目の新妻赤し節座敷 淡海うたひ
眩暈に寝て元日の音すべて聴きぬ 関 悦史
肝吸に眼鏡くもらす四日かな 大井さち子
流木に死後はあらずや年新た 関根かな
人に蹤き来れば山頂お元日 津川絵理子
福引や一番ほしい二等賞 茅根知子
寒月に寒星寄りて光りあふ 鈴木不意
脱衣場の妻へ渡すや初湯の子 押野 裕
初日の出呼吸の中のみづの味 樫本由貴
五日きてやっと舎房の鍵開く KAZU
ロボットの初声こぼす月世界 佐藤りえ
いい匂ひ春著の母に抱かれて ハードエッジ
人間をやめたき時の独楽澄めり 喪字男
姫始どこかの山の水を飲む 山下彩乃
裏白や犬吠えながら仰向けに 仮屋賢一
若菜野の陰に野生化する手帖 中嶋憲武
介護用おむつの中の初うんこ 芳野ヒロユキ
獅子舞を置きざりにして空青し 大石雄鬼
かまくらの闇に吾が闇落としけり 平川浩剡
初鴉一羽遅れて赤ん坊 山岸由佳
初夢に出て来た顔が流行りだす 凪浜 楓
冷風で仕上げる癖毛去年今年 鈴木陽子
目出度いと云はずよろしく雑煮椀 青山酔鳴
初風に鳳凰金を放ちをり 仲田陽子
おいしいと言ふため雑煮吹き冷ます 鈴木牛後

6日
人間を待てば蜜柑の生る木かな 鴇田智哉
絵双六コンビニへ行く役目賭け 若林哲哉

交番の箒の音も四日かな 榊 倫代
父の手を初夢に見る赤子かな 加藤 靖
ごめんねと七福神が口々に 亀山鯖男
淑気信じて吸盤をつけ直す 西川火尖
去年今年妻も息子も生きている 岡本飛び地
歌をまだ知らぬくちびる薺粥 神野紗希
初晴にケーブルカーの飛び交ひぬ 宮本佳世乃
せりなづな博士には死んだと伝へて 佐藤文香
地球儀や去年の日本赤うして 下坂速穂
元日やきのふ大鐘浴びしこと 依光正樹
綿菓子に足袋の踵を浮かせたる 依光陽子
初夢は寝癖に負けぬほど乱れ 小池康生
初空や音なく発てるモノレール 藤井南帆
古生代青の記憶や初日さす 田中亜美
ちよろぎの森羅万象箸を落つ 山崎志夏生
湯たんぽの冷め湯ぽこぽこ湯船へと 斎藤悦子
眠る海鼠ねむる空気をおめでとう 田島健一
初夢でよくわからない物を売る 赤羽根めぐみ
いづれの宿しゆくも日暮空なり絵双六 小澤實
マツコ・デラックスのごとく座りぬ鏡餅 大川ゆかり
妾宅に雪女郎ゐてアッポーペン 村嶋正浩
チャーハンや正月のかまぼこ微塵 冬魚
海いつもそこにありけりお元日 川嶋一美
気に入つて千葉県にゐる五日かな 西村麒麟
七草の残り日なたの鶏に遣る 雪井苑生
猫缶の蓋をぱかんと大旦 菊田一平
輪飾りや船渠の船に風が来る 橋本 直
もしかして今は戦前寝正月 雪我狂流
真ん中の子の初泣をたしなめる 日原 傳
つるつると鶴は千年蠟石遊び 鳥居真里子
姫始め頬に殴つた痕がある 北大路翼
去年今年湯殿の隅の湯搔棒 村上鞆彦
頭骨標本日陰に連なり大晦日 小野裕三
音立てて初湯の光あふれしむ 今井肖子
初夢の父に洋食差し上げる 篠塚雅世
冬波が来る猫五匹鴉二羽 髙勢祥子
から箱の中の目覚や大旦 佐々木貴子
海底に触れしと思ふ雑煮箸 中村安伸
正月の生ゴミベランダに二つ 島田牙城
締まりたるボスの足くび事務始 中川東子
温泉の初湯輝くゆでたまご 能城 檀
ペンギンの順に飛び込む御元日 小林苑を
酉年を迎へて夫の髭はねて 篠崎央子
初風の果てには椅子が二つある 渡戸 舫
みゆきばれ叫べばたぶん刺さるくらいの 青本瑞季
朝摘みの花のしをれを新日記 安里琉太
話すと薄れる初夢だつたまた話す 青本柚紀
総武線過ぎ初富士の雪んとこ 近 恵
ぽつとん便所の新しき鍵初社 関根誠子
初テレビ回想談の背後に本 飯田冬眞
元旦や土の乾きしプランター 清水右子
冬三日月に金星の耳飾り 本多 燐
注連飾り似合はぬドアを開け帰宅 滝川直広
人類の創めは二人鏡餅 松野苑子
銭湯の入場規制寅彦忌 上野葉月
初神籤ひとさし指を顎に添へ 太田うさぎ
初あかね乳歯に舌は優しくあれ 越智友亮
たつくりにこころのうちをのぞかれる 宮﨑莉々香
目が鷹とながれあらすかすつからかん 大塚 凱
すゞめほどな愛でたき人と三が日 西原天気
正月二日の論文に降る明治の雪 福田若之
四日の鴉眼が開いてゐて見えてゐる  生駒大祐
鏡餅あかるい道の見えて消え 上田信治



〔今週号の表紙〕第507号 落日……村田篠 ≫読む

後記+執筆者プロフィール……上田信治 ≫読む


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2 コメント:

平川浩剡 さんのコメント...

私の句に記載ミスがあるようでご連絡差し上げました。ご確認お願い致します。

週刊俳句 さんのコメント...

申し訳ありませんでした。
訂正いたしました。