2017-06-11

後記+プロフィール 第529号

後記 ● 福田若之


学部生のころ。所属していたサークルの部室に、スーパーファミコンがありました。

ソフトもいろいろあって、そのうちの一本が、『MOTHER2――ギーグの逆襲』でした。何の話かというと、そう、フライングマンです。 フライングマンは、糸井重里がゲームデザインを手がけた『MOTHER』シリーズに登場するキャラクター。僕は『2』しかプレイしたことありませんけど、初代『MOTHER』から登場しているということです。

『MOTHER2』は1994年のゲームソフトですから、まあ、当時3歳児だった僕がリアルタイムでプレイしているはずもなく、その主人公のことは、Nintendo64の『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』のほうではじめて知りました(1999年発売のこのゲームに『MOTHER2』の主人公であるネスが隠しキャラとして登場したとき、だれだこのどこにでもいそうな感じのやつは!? となったのは、僕らの仲間だけじゃなかったはず。しかも、初見だと動きが捉えづらくてやたら手強いし)。

去年の11月にDMM.comから配信が開始された『文豪とアルケミスト』というブラウザゲームが、ちょっとした話題になっているらしいと聞きました、ちょっとした話題として。

なんでも、正岡子規が「転生」して登場するらしい。こんな感じだそうです。能力を使って、「本の中の世界を破壊する侵食者」を撃退するのだとか。

文豪と異能力バトルといえば、朝霧カフカ原作、春河35作画の漫画『文豪ストレイドッグス』もあります。アニメ化もされたこの作品には、種田山頭火が脇役で出ていました。

『文豪とアルケミスト』や『文豪ストレイドッグス』のキャラクター化された文豪たちは、決して文学史に語られる文豪たちそのままではないし、かならずしも実際に残されている作品とキャラクターのイメージが一致するわけでもないのだけれど……これは何の話かというと、学校でほとんど名前だけを覚えるようにして知った体験を除くなら、かつて僕らの仲間が『スマブラ』ではじめてネスに遭遇したようにして、ゲームや漫画ではじめてそれらの俳人と遭遇するひとたちもいるかもしれないってことです。

そんなひとたちが、部室にたまたま置いてあった古いゲームをプレイするみたいに、あるとき本屋か図書館で『墨汁一滴』や『草木塔』を手にするときが来るかもしれない。――いや、いまならまずは『青空文庫』か。いずれにせよ、そんなふうに思ったら、ちょっと楽しみじゃないですか。



ではまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.529/2017-6-11 profile

柳本々々  やぎもと・もともと
かばん、おかじょうき所属。東京在住。ブログ「あとがき全集。」

■大西 朋 おおにし・とも
1972年10月16日、大阪府生まれ。平成18年「晨」入会。22年「鷹」入会、小川軽舟に師事。「鷹」同人。「晨」同人。俳人協会会員。

■小林すみれ こばやし・すみれ
1955年東京生まれ。2006年、「椋」入会、石田郷子に師事。2011年、第二回「椋年間賞」受賞。
2015年、第一句集『星のなまへ』上梓。現在「椋」会員、俳人協会会員。

■野名紅里 のな・あかり
神戸市在住。「秋草」「里」所属。

中嶋憲武 なかじま・のりたけ
1994年、「炎環」入会とほぼ同時期に「豆の木」参加。2000年「炎環」同人。03年「炎環」退会。04年「炎環」入会。08年「炎環」同人。

■近 恵 こん・けい
1964年生まれ。青森県出身。2007年俳句に足を踏み入れ「炎環」入会。同人。「豆の木」メンバー。2013年第31回現代俳句新人賞受賞。 合同句集「きざし」。

西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。笠井亞子と『はがきハイク』を不定期刊行。ブログ「俳句的日常」 twitter

福田若之 ふくだ・わかゆき 1991年東京生まれ。「群青」、「オルガン」に参加。共著に『俳コレ』(邑書林、2011年)。

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