2017-09-03

10句作品 あの町この町 鈴木陽子

あの町この町 鈴木陽子

古墳より徒歩一分の露台かな
祭の夜宿の部屋から閉め出され
草いきれ過ぎ三味線の音ひづむ
はてしなき両替のごと滝壺よ
石鹸の干からぶる旅青なつめ
コンベヤに鞄流るる台風圏
あさがほの種玉砂利の間へ落つる
大学を栗鼠の走れり秋澄めり
鼻歌を止めて金木犀の径
朝霧は置き傘の柄に及びをり

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