2017-11-12

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 第25回 植木等「ハイそれまでョ」

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
第25回 植木等「ハイそれまでョ」


天気●小さな植木等が棲んでいるんですよね、すべての男の心の中には。

憲武●ほほう、泣けてくるねえ。

天気●というわけで、今回は植木等「ハイそれまでョ」です。



天気●いい曲が多すぎて、選ぶのに苦労するのですが、映画のワンシーンということで。また、楽曲の秀逸さ、すなわち、スローテンポから一転、「てなこと言われてその気になって♪」でアップテンポ。曲調と歌詞のオチがみごとにシンクロしているという点でね、とりあえずこの曲を選んでみました。

憲武●歌い出しはクルーナー唱法の名曲ですね。学生の頃ね、浅草東宝で月イチくらいでクレージー映画のオールナイトやってて、そこで初めて「ハイそれまでョ」観た時は衝撃的でしたね。

天気●植木等の歌唱のパターンふたつが味わえることでも、おいしい一曲です。ワンコーラスの前半は美声のバラード、後半は無責任ボイスのノリノリ歌唱。

憲武●顔立がキリッとした二枚目なので、生真面目から無責任に移行する静と動のギャップが面白いんですね。

天気●この曲、「ハイそれまでョ」は、植木等の主演映画『ニッポン無責任時代』(1962年/古澤憲吾監督)の主題歌。レコードだと「無責任一代男」のB面に収録。  大ヒットした「スーダラ節」の翌年ですね。

憲武●「スーダラ節」は不謹慎だとして、昭和36年の紅白歌合戦には出られなかったんですが、翌年に「ハイそれまでョ」で出場したんですよ。

天気●へぇ、そんな事情だったんだ。「スーダラ節」は小学生だったのですが、男で集まると、歌いながら踊ってましたよ。

憲武●ぼくもやりました。あの平泳ぎのような、高橋幸宏が言うところのスイムウォークとか。

天気●このあたりの曲はすべて作詞青島幸男、作曲萩原哲晶。日本歌謡史上最高のコンビといってもいいくらい。青島幸男はせっかく天才だったのに。都知事なんかになっちゃって、晩節を汚しました。

憲武●天才萩原哲晶はマーチが多いですね。金管楽器の音も印象的です。このコンビに加えて古澤憲吾と、三人も天才が揃ってしまって、すごい時代でした。

天気●植木等について話し始めたら、キリがないので、おたがいにいちばん好きな曲をあげましょうか。「ハイそれまでョ」以外で。

憲武●うーん、難しいですね。いろいろあり過ぎて。敢えて、というなら、「ショボクレ人生」ですかね。



天気●ショボクレの実例がごっちゃっと並んでる。で、「ショボックレたこと、すんな!」と一喝。シブいです。私は「だまって俺について来い」かなあ。



歌詞がね、いいんですよね。「ぜにのないやつぁ俺んとこへこい♪」まではいいとして、「俺もないけど心配すんな♪」って、サイコーに無責任で、サイコーに楽観的。で、次に続くのが「見ろよ青い空白い雲♪」。これはもうほんと気持ちのいい景色。


(最終回まで、あと976夜) 
(次回は中嶋憲武の推薦曲)

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