2018-01-07

2018年 新年詠 テキスト版

2018年 新年詠

(到着順)

初空や肥後の熊本馬どころ  岸本尚毅

元日の賑ひ避けて出勤す  矢口 晃

熱愛も覚醒剤も去年今年  ゆなな子

賀状書く気力スコッチを飲む気力  瀬戸正洋

雪片へ北斎の波立ち上がる  森脇由美子

街道に銭を散らしてゆく鯨  福田若之

指おりてくる元朝の濡れた鼻  赤羽根めぐみ

雑煮食ってゴジラはねむる檻の中  片岡義順

初春と思えば初春のこの部屋  池田澄子

年迎ふインターネットの地平より  鈴木茂雄

廻る日を羊歯に統べてや海の道  五島高資

人日や真珠に黒黄ピンク系  藤崎幸恵

正月映画の主役は故人ばかりなり  小久保佳世子

喰積や賢き犬と見るニュース  渕上信子

銀シャリの眩しきムショの三が日  KAZU

冬桜失禁の父慰めて  今井 聖

お元日敬語てふものありにけり  齋藤朝比古

山昏れて掛鯛の目は漆色  中村 遥

ロボットが作るロボット事務始  矢作十志夫

初夢のアイクターナー悪代官  酒井 匠

洟垂れの吾を映して初鏡  竹内宗一郎

豊かなる父の欠伸や初湯殿  山西雅子

神宮の結婚式の淑気かな  笹岡大刀

四十は棄民懐手して日を拝す  畠 働猫

波の裏大きく見ゆる女正月  山口昭男

その影のまはり明るし初雀  滝川直広

初景色隅に老犬眠りをり  玉田憲子

舞初の洗濯物をたたむ所作  石原ユキオ

兄嫁のショートカットの淑気かな  藤田千佳

初山河紙のチョルテンだけ背負い  森 青萄

初日影余す足らずを無くしけり  隠岐灌木

初明り後部座席の犬三頭  笹木くろえ

愛犬をつれて銀座の初売へ  紀本直美

遥かなるものから生れて初茜  青木ともじ

楪や面長にして太き耳朶  曾根 毅

御降や坂の終はりに来て寂し  鈴木総史

ふさはしい子の日のみどりをどうも  小川楓子

英雄の墓はからつぽ粥柱  飯田冬眞

草めける犬の睫毛や年迎ふ  篠崎央子

二日聞く鼻くそ丸めたほどの恋  野口 裕

初凪や友は子供に嘘をつく  三島ちとせ

白刃の初日一閃浴びて立つ  石原 明

初鳩の歩く速度を見比べる  クズウジュンイチ

初空へ虚子の立句や那智の滝  高橋透水

はつゆめの録画忘れてゐたりけり  常盤 優

安売のタイヤ積まれて淑気かな  松本てふこ

初笑ひ枕の下の階下より  守屋明俊

御降りや御詠歌の歌詞うろ覚え  岡村知昭

髪長かりき初夢に逢ひし子規  町田無鹿

読初やわが句なき「銀河発電所」  涼野海音

は を むいて まかみ ましら の ぎよけい かな  高山れおな

青空のいちまい目なる叔気かな  小池康生

さびしくて餅に突っ込む勢いで  伊藤他界

静電気立てて猫寄る二日かな  大西 朋

神さまもとぼけて坐る仏の座   佐山哲郎

壮大な茶番と思へ初鴉  いなだ豆乃助

百円玉握りて寒き列にならぶ  山田露結

なんと列なしたり鄙の初社  三浦 郁

鴉にも豊かなひかり今朝の春  今井肖子

鏡餅聳ゆる角度猫眠る  森山いほこ

初夢が赤々と口開けにけり  関 悦史

木は語り人は語らず年の酒  下坂速穂

あふむけで壁を見てゐる淑気かな  依光正樹

縄跳やもの編むごとく光吐き  依光陽子

頭蓋骨デッサンずらり淑気かな  藤尾ゆげ

人面に似る石拾ふ三日かな  岡田由季

駅員はいつもの人や初詣  清水良郎

流骨のしづかに濡れて初日かな  小津夜景

元日の居間家ぢゆうの音集め  豊永裕美

名乗る前の声の細さよ初電話  関根誠子

初買ひの松坂牛やサシ縦横  望月とし江

返し手の見上ぐる餅の搗き手かな  笠井亞子

元旦の放送事故のめでたけれ  林 雅樹

がやがやが都庁を過ぎて雪になる  青本柚紀

門松に電飾巻くや六本木  シシオ澤ガイ

荒淫ときに蓮華坐を犬跳ぶも  九堂夜想

初夢のモザイクなしの穴ふたつ  月波与生

ららぽーとイケアコストコ春支度  前北かおる

犬つくば五日で吾子をつくるらん  白川走を

臍に古典背なに前衛去年今年  田中目八

ぬくぬくと猫が横たふ去年今年   茅根知子

行く我に初日や帰る人と犬  トオイダイスケ

元朝の鞄の底から三菱鉛筆  小野裕三

朝の雑煮昼の雑煮と食べにけり  亀山鯖男

平成の三十年の御慶かな  しなだしん

石段に息の賑やか初詣  岡田一実

石付きの犬歯をこする祝ひ箸  中山奈々

初晴の果ての塗りたて注意かな  土井探花

初夢の穴よりいまだ戻らざる  柘植史子

額に風通りて海よ初詣  阪西敦子

おもしろう枝を冬木の桜かな  佐藤明彦

明らかに嫁が君ではないものと  上野葉月

ふるさとにわたつみの闇宝舟  川嶋一美

餅花やランプシェードを緩く拭く  原和人

乗初や読書のひとの爪は光  鈴木陽子

遠くなる鼻の淑気がわりといい  宮﨑莉々香

双六の太平洋を飛びにけり  柏柳明子

初声や合図のタクト振られたか  池谷秀子

鰓裂に赤光籠り星新し  橋本 直

吹出物と言われて痒し寝正月  越智友亮

タイマーを使つて孫と初写真  西村小市

お決まりの時の過ぎゆく寝正月  照屋眞理子

ヒーローは仮面のままの初笑い  岡本飛び地

元旦のハンバーガーに異論無し  原 英

初空に大磐座と火ありけり  橋本小たか

門松とラムネの瓶が夜中まで  浦邉はづき

年ゆくや今度は君が四つん這ひ  山田耕司

御降のまにまにつむじ巻きなほす  大塚 凱

バスの中破魔矢掲ぐる障害児  トッカー太

小豆粥ポストモダンの顔を塗る  赤野四羽

初富士や襞うつくしく遠ざかる  日原 傳

恵方へと向かうトラックAコープ  小林かんな

一月の二枚重ねのパンケーキ  雪我狂流

初浅間白妙の裾長く曳き  大井さち子

われらなき百年先の去年今年  ハードエッジ

手毬転がる家猫の疾さかな  倉田有希

初富士の左半分だけ拝む  近 恵

ななくさがゆモンゴルのお相撲さん  高橋洋子

犬棒に当たるカルタへ手を伸ばす  小林苑を

あをぞらの一点見つめ初電話  太田うさぎ

るらのです。のです秋葉原のタッパ  乱父

初夢の帽子はどこへいつたやら  松野苑子

元日の私といふモニュメント  龍翔

モッズコート着て戌年は二度目の犬  木田智美

淑気とや杯つぎつぎに拭かるゝも  樫本由貴

乳母車の幅をはみ出す福袋  黒岩徳将

妻の待つモバイル十六武蔵かな  中嶋憲武

占ひやべたつく屠蘇の手を広げ  鈴木不意

初夢のさめたる頃のインク壺  中川東子

風邪ごゑの告ぐる最終目的地  山岸由佳

終着のなき初夢の列車かな  石地まゆみ

当番表回して賀状取りにゆく  仮屋賢一

元日の終夜電車の人親し  山崎志夏生

元日の卓にフィンガーチョコレート  原麻理子

初夢や七人乗りの飛行船  仲田陽子

若水の満ち足りてゐる猫の鉢  佐藤りえ

ゆるやかに上り坂なる初詣  村田 篠

初声にやはらかきもの髪を結ふ  加藤 靖

初しののめ熊野は人を統ぶるなし  谷口智行

滝氷る前に誘眠剤ひとつぶ  宮崎斗士

幾億光年先の瞬き去年今年  熊谷 尚

初夢の人が布団の中に居る  西生ゆかり

「深い河」読み終へて初明りかな  堀本裕樹

突堤の先に人ゐる淑気かな  広渡敬雄

初霞俗世の群れに神の呼気  市川綿帽子

がちやがちやのがちやと落ちたる女正月  嵯峨根鈴子

初日待つ岬に集ひ来る痛車  杉原祐之

去年今年歩いて吾が血眠らせず  大島雄作

漂着す紙片一枚「寶船」  すずきみのる

沈沈としやぶる指あり大旦  五十嵐秀彦

去年の音今年の響き子の寝息  押野 裕

宝船自ら描いて一人足りぬ  久留島 元

机の上机の下の淑気かな  杉田菜穂

初凪や終(つひ)黒潮に招かれて  花尻万博

初あかり呼吸のひとつひとつが旅    月野ぽぽな

義父に妻あり伊勢海老の味噌を吸ふ  佐藤文香

読初は西村麒麟句集『鴨』  対中いずみ

狛犬の散歩に行きたげなる四日  内村恭子

去年掛けし薬缶の湯の沸きて今年  雪井苑生

新年の星の△□かな  小西昭夫

福詣真つ赤な鯛のみくじ釣る  淡海うたひ

初御籤専用フォントありやなしや  マイマイ

おさがり(匙にシロップ)白にごり  渡戸 舫

初夢のパパラッチより逃切りぬ  堀田季何

今年からグレイヘアーで行かんとす  斎藤悦子

拝みたくなるやうな富士年新た  駒木根淳子

大らかな音たて賀状届きけり  宇志やまと

戌年を犬は知らない三日かな  河野けいこ

両の手に赤いパンツの福袋  菊田一平

ひねぽんを食べ続けたる新年会  西村麒麟

乱れつつ列の整ふ初詣  矢野玲奈

走れるをよろこぶ犬や初日受け  小澤 實

地球の日くじらがくじらとふれあうとき  宇井十間

死にたれば小宮山遠雑煮食ふ  外山一機

講談など聞きに出たりや三日むにゆ  村越 敦

猫の眼に吾が顔映る淑気かな   金子 敦

もう一羽ふえて四羽の初雀  松尾清隆

からだみな契りと成りてあけの春  琳譜

初富士の濃くなつてゆく日の終り  上田信治

初明り畝傍耳成香具山を  原 雅子

人とゐて人しづかなる初社  千葉皓史

御降りのあとの雫の螺旋階  津川絵理子



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