2018-04-15

24時間耐久花見大会レポート 大塚凱

24時間耐久花見大会レポート

大塚凱


3/30(金)
18:57 越智友亮さんから電話がかかってくる。花見の場所が見つからないとのこと。しかし、参宮橋方面から代々木公園に入るつもりだった僕は4つの重たいレジ袋を指に食い込ませながら、閉じた門の前で途方に暮れていた。

19:01 開始予定時刻を過ぎる。腕を震わせながら必死の形相で原宿方面へ向かう。加えて、背負っている壺の重さに肩が悲鳴を上げる。

19:08 先行して場所取りをお願いしていた青本瑞季に、越智さんの捜索願を出す。

19:12 斉藤志歩さんが青本瑞季と合流したとの報せ。

19:20 なんとか代々木公園に入園し、場所取り位置に到着。夜桜がところどころ街灯に照らされている。志歩さんとは第8回石田波郷新人賞を授賞された際の式で会ったのが最後という気がするのだが、その間ずっと卒論を書いていたらしい。越智さんを発見。

19:22 開会宣言をする。

19:25頃 井口可奈さん、自称保守系無所属の上野葉月さんが合流。可奈さんとは初めてお会いした。学生時代に越智さんとご縁があったとは初耳だった。

19:30頃 同級生の佐藤のどが合流。可奈さん手作りのロールパンを頂戴して「やっぱこのイチゴジャムとマーガリンの組み合わせはテッパンで美味しいですね!」と言ったら、「それはあんずとクリームチーズです・・・」と言われる。

20:00頃 上京したての紆夜曲雪くん、中町とおとさん、咲良あぽろさん、場所取り後一時帰宅していた青本柚紀が参加。暗闇から田中惣一郎さんがカツ煮を持って出現。頭数が揃ってきたので、席題「木曜日っぽい句」で句会をはじめる。出句は、短冊を壺に投げ入れるシステム。隣の花見客がサカナクションを大音量で流しているのでうるさいが、却って開催場所の良い目印になった。

21:00頃 葉月さんが出句だけして颯爽と帰宅。

21:20 句会終了。半分くらいは全然木曜日っぽくない句だった。越智さんが帰宅。可奈さんがカツ煮にハマる。

22:15 黒岩徳将さんがご来場。句会2回目の席題は「曲線的な句」。

22:23 田島健一さんが現れるが「句会はしたくない」と言うので句会を見学なされる。

22:49 阪西敦子さんから1通目のメールが18:49にあったのち、2通目のメールが来ていたが、どちらも僕が気づかず。敦子さんにだけ参加場所の告知をし忘れているという痛恨のミス。

22:53 しびれを切らした敦子さんから電話。地図を送るが、場所がわからないとのこと。

23:03 再度敦子さんから電話。サカナクションが撤収したため、目印になるものがない。

23:15 心配になり敦子さんに電話をかける。

23:23 敦子さんに発見される。五七五の韻律が不意に遠くから聞こえたらしく、その方向に歩いてきたら辿り着いたとのこと。さすが、俳歴が違う。

23:24 句会終了。のどに続いてくん、可奈さん、志歩さん、瑞季あぽろさんが帰宅。その後、終電で宮﨑莉々香、柳元佑太がやってくる。とおとさんのご主人がサポートに現れる。解散する周りの花見客から余った飲食物やシートをもらう。中国人男性が近くの場所取りに現れて、何か敷物の抑えになるものが欲しいと言うので、逆に空き瓶などをあげる。

3/31(日)
01:30 席を残して、渋谷を吟行する運びに。酒も回り、眠気も差してくる・

03:00頃 田島さんがラーメンを食べたい素振りを見せ、全員ですごい煮干ラーメン凪渋谷東口店に入店。僕はラーメンを食べて暖まりたかったのだが、間違えてつけめんの食券を買ってしまった挙句、貧乏症が出てなぜか麺を400gで頼んでしまう。そこからの記憶があまりない。腹がパンパンになりながらも、公園に帰ることになったらしい。

03:30頃 まっしろな空間で、句会をしていた。登場人物は皆白く、隣から送られてくる短冊も白いままで字が書かれていない。しかし、僕はそれを読み、確かに俳句として面白がったり、採れないなぁ、と思ったりした。すると、肩を叩かれた。振り返ると、とおとさんのご主人の顔があった。話を聞くと、僕が集団からいつのまにか落伍していることにみんなが気づき、100mほど手前で直立不動の僕のもとへ戻ってきてくれたらしい。僕は道のど真ん中で立ったまま、夢を見ていたのだ。

04:00頃 半ば眠りながら歩いて、代々木公園にたどり着いた。寒い。園内で焚火をしている人を横目に花筵へ戻ると、もぬけのからになっている。空き缶やゴミを残して、一切の酒とおつまみが盗まれていた。莉々香に至っては充電器と水筒も被害に。惣一郎さんは置きっぱなしにしていた句帖が土足で踏み荒らされていた。柳元も朝食のためにと買ってきたバナナ18本がすべて盗まれており、憔悴していた。同時に買っていたペンだけ残されていたのが、せつない。まあ置いていった僕らが悪いのだけど。句会をする気力がゼロだった。

04:15頃 そう遠くない距離のシートの上で、カップルがイチャイチャしはじめる。次第に行為が大胆になっていくのを不安視する。

04:30頃 とおとさんが凍えはじめる。ご主人が防寒シートを持ってきており、暖めていた。美しい光景である。始発と同時に、中町夫妻、惣一郎さん、田島さん、敦子さんが帰宅。

08:30頃 目覚める。05:00頃には、跪くような形で僕の意識が途絶えていたようだ。防寒シートをかけてくれていたのだが、炬燵代わりにして僕の背中の上でずっとトランプをしていたらしい。その間に、中国人の方がインスタントコーヒーとお湯を持ってきてくれていた。家でしっかり睡眠をとってきた瑞季が再合流。

08:56 寒さで心が折れる。もう24時間屋外にいるようなイベントなんてやらない、と心に決める。

09:25 大富豪(トランプゲームのひとつ)に興じてしまい、ただのお花見に堕落していることに気づく。大富豪には「8切り(はちぎり/やぎり)」というルールがあり、それをするたびに「矢切の渡し」を一節歌っていたのだが、夜通し残ってくれた後輩たちには伝わらず唇を噛み締める。「矢切の渡し」は、細川たかしよりちあきなおみの方が好きである。

09:42 飲食物がなくなってしまっているので、柳元莉々香が買い出しに行くと同時にTwitterで状況報告と支援を要請する。北大路翼さんが「句帳は持ち歩かない奴が悪いw」とツイート。加藤靖さん、豊永裕美さん、山中さゆりさんが反応してくれる。

10:25 子連れ句会のお花見の場所取りに現れた西川火尖さんと合流。ついで、木村リュウジさんなど、子連れ句会の皆さんが断続的に挨拶に来てくださった。豊永裕美さんからピザポテトをもらう。

10:26 煙草を吸おうと思ったが、これも盗まれていたことに気づく。北朝鮮産の煙草を友人から譲り受けたので希望者と吸おうと思っていたのだが、ショックが大きい。ちなみに味はマズイが、言うほどはマズくない。逆に、包装に書かれた製造日らしい数列から五年くらい経っている割には美味しく感じた。

10:30 空き缶の中に、盗み残されていたプレミアムモルツ<香る>エールを発見。涙をしのびつつ飲む。ダイエットに成功した新生駒大祐さんがカツ丼と親子丼と牛丼を計6杯持って現れる。しかし、生駒さんは糖質制限のためそれを食べることができない。

11:20 福田若之さんが手作りの出し巻き卵を持って現れる。愛しい味。

11:26 再び頭数が揃ってきたので、第三回句会をはじめる。席題は「読むのに時間がかかる句」。生駒さんが冴え渡っていた印象。

12:30頃 子連れ句会にご挨拶をする。松本てふこさんがご来場。徹夜の柳元莉々香柚紀が川の字になって眠りはじめる。花見客で公園がパンパンになり、電波やネット接続がほとんどできなくなる。特に女性用トイレは1時間待ちもザラだと思われる長蛇の列。誰かが「不器男賞の予選通過作品発表って今日だよね?」という話をし、まだ肌寒い春風が吹き抜ける。

13:00 連句開始時刻だが、捌の北野抜け芝さんがお隣の明治神宮に迷い込んでしまう。

13:20頃 捌が到着。「次のあじあ」の巻。以降、連句終了まで断続的にメンバーが入れ替わったため把握しきれず。

15:30頃 佐藤文香さんがご主人と現れる。『天の川銀河発電所』の出版記念の際に作ったという焼酎を持ってきてくださった。若之さんの出し巻き卵を食べて、おふたりで次の場所へ。

19:20 日が落ち、寒い。場所を移して満尾までやりきろう、という話になった。迷っている方の連絡等に忙しくちゃんとご挨拶できなかった方がいたのは申し訳なかったが(お名前が漏れてしまっていたらごめんなさい)最終的に、加藤靖さん、副島亜樹さん、蓜島啓介さん、三浦けいこさん、宮本佳世乃さん、山中さゆりさん、岩田奎さん、西生ゆかりさん、七子さん、林楓さん、再合流のあぽろさんが参加してくださった。最後は抜け芝さん、西生さん、加藤さん、瑞季若之さんの6人でガスト渋谷公園通り店へ移動する。

21:30頃 連句が満尾。最後の執筆抜け芝さんがビシッとキマッた。さぞかし気持ちよかっただろうと思う。

22:30頃 解散。最後に残ったメンバー内でも、西生さん、加藤さん、瑞季は初めての連句だったらしく、満尾ののち1時間ほど談義をしたと思う。途中で睡眠してしまったため堕落した24時間耐久花見だったが、とはいえ身体がバキバキである。もうこんなことは、一生やりたくない。

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先般開催されたオリンピックは、(いい意味で)「狂ってしまった」人間たちの祭典である。そして、かつての俳諧師たちも、身分の低さや貧困のなか、野ざらしを心に創作を続けたのは、それこそ狂っていたからに他ならない。狂気への憧憬と羨望という意味では倫理的な云々はさておき、クラブで踊りまくるのも、酒に溺れるのも、補陀落渡海も、ほとんど同様の行為であると思う。それだけ、人間は何かに狂うことができる。個人的な話だが、先日、現代俳句協会青年部を巻き込んで助詞「を」だけで3時間の勉強会を企画してしまったのも、同じ類の衝動によるものだった。

しかし、正しく狂うことは難しい。
「24時間耐久花見大会」というイベントを開いた目的は、ひとえに「正しく狂いたかった」からだ。その点では、僕が3/31(日)03:30頃に夢を見ることができたところで、一応の目的は達成された。僕はあの夢を経て、僕は「俳句作品そのモノ」を悦んでいる以上に、「俳句であるコト」あるいは「『俳句性』ともいうべき概念」自体を悦んでいるという面があるのではないか、と感じるに至った。それは、紛れもないフェティシズムである。

さて、今回このイベントに連句の時間を設けたのは、もう一度その「俳諧師」たちの時代を擬制してみたいという試みでもあった。連句は、非常にコトバ的な営みと感じている。例えば、「『戸袋』と『脇腹』は即いているよなあ」という感覚のそれ。俳句を公民館の会議室の中に閉じ込めてしまったかと思えば、吟行と銘打って屋外の風物をモノ的に俳句に「利用」しているという不自然な現状への自戒も込めて、土の上で、ごく自然に、コトバ的な営みに興じたいという思惑だった。

それだけに、なかなか物理的にハードだった面もあるのでご参加の皆様にはご迷惑をおかけしたが、重ねてお礼を申し上げたい。
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